日立とNTTドコモビジネス、600km超離れたデータセンター間でシステムの完全自動復旧を世界で初めて確認

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この記事を書いた人
安和 賢二(やすわ けんじ)

愛車歴20年!メインはトヨタ車。カーリースを活用して維持費を最大限抑えながら好きな車にも気軽に乗れるカーライフを送ってます。これまでのモーターライフで得た経験をもとに、維持費を抑えて賢く運転する情報を発信する「enjoyモーターライフ」を運営。

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背景

近年、激甚災害の増加やサイバー攻撃の高度化・巧妙化により、社会インフラを担う企業では、災害やサイバー攻撃発生時にも業務を継続できるミッションクリティカルなシステムが求められています。遠隔地間でリアルタイムにデータを同期し、災害時でもデータを失わずに早期に業務を再開できる事業継続性の確保への関心が高まっています。

また、仮想化基盤の見直しやコンテナ技術を活用したシステム基盤への移行が進む中で、アプリケーションを含めたシステム全体を柔軟かつ効率的に運用できる環境への需要が増加しています。

しかし、仮想化基盤、OS、アプリケーションまでを一気通貫で自動復旧させる仕組みの構築は、システム全体の連動が複雑であるため困難でした。さらに、新しい基盤への移行・導入には、システム復旧目標時間(RTO)やデータ復旧目標地点(RPO)に合わせた複雑な設計や、長距離通信環境に応じた性能調整など、高度な専門知識が必要となり、導入の負担となっていました。

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本実証の概要

本実証では、ミッションクリティカルなシステムの要件を満たすため、ストレージ、仮想化基盤、データベースを組み合わせた実機環境が構築されました。基盤には、日立ヴァンタラのストレージ「Hitachi Virtual Storage Platform One Block(VSP One Block)」と、レッドハットの「Red Hat OpenShift Virtualization」を統合したハイブリッドクラウド環境が採用されています。データベース層には「Oracle AI Database」が用いられ、災害対策構成が検証されました。

主サイトで障害が発生した際には、「Red Hat OpenShift」の高可用化機能からの要求により、日立ヴァンタラの「Hitachi Storage Plug-in for Containers」が即座に連動し、障害検知から副サイトへの切り替え、OSやデータベースの起動までの全自動復旧が検証されました。

実証環境、実証技術、各社の役割

実証環境・技術・各社の役割

  • 実証環境: NTTドコモビジネスが提供するIOWN® APN実環境(東京・大阪間相当の600km通信環境)

  • 実証技術:

    • ネットワーク: IOWN® APN

    • アプリケーション: Oracle AI Database

    • 仮想化プラットフォーム: Red Hat OpenShift Virtualization

    • ストレージ: VSP One Block

  • 各社の役割:

    • 日立: プロジェクト全体の統括、BDSの提供

    • 日立ヴァンタラ: IOWN® APN実証設備へのVSP One Blockの仮想ストレージ接続・機能評価

    • NTTドコモビジネス: IOWN® APN実証設備を用いたAPNの機能・性能評価

    • レッドハット: 仮想化プラットフォーム(Red Hat OpenShift Virtualizationなど)およびOSの提供

    • 日本オラクル: データベース(Oracle AI Database)の提供

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本実証の結果

システムが稼働する主サイトのシステム停止を想定し、副サイトへ切り替えた後の業務再開までの時間とデータ保全性などが評価され、以下の3点が確認されました。これにより、災害時にも確実に業務継続が可能であることが示されています。

1. アプリケーション層まで一気通貫な全自動復旧により、約10分での業務再開

コールドスタンバイ構成では、ストレージ切り替え後にOSやデータベースの起動に時間を要しますが、Oracle AI Databaseの起動・リカバリ処理をデータの一貫性を維持したまま2分弱で完了させるなど、各プロセスを効率化しました。その結果、システム全体として約10分での早期業務再開を実現しています。これは、ミッションクリティカルシステムで求められる高い業務継続性の要件に応える水準であり、OSからアプリケーションまで一気通貫での自動切り替えにより、実用レベルでの業務再開が確認されました。

2. 600kmを超える距離環境下におけるデータ保全性の維持

BDSとOracle AI Databaseを連携させることで、システム切り替え後もデータの一貫性を維持しながら、副サイトでデータベースの稼働を再開できることが確認されました。ストレージからデータベース、アプリケーションまで、システム全体でデータ保全性を維持できることが実証されています。

3. 600km超の遠隔地間におけるRed Hat OpenShiftのコンテナアプリケーションの実現性を確認

IOWN® APNの低遅延ネットワークを活用することで、従来は通信遅延の影響から構築が難しかった600kmを超える遠隔地間において、Red Hat OpenShift上で稼働するマイクロサービス間のリアルタイム連携の実現性が確認されました。これにより、遠隔地に分散したシステムを一体的に運用できる見通しを得るとともに、災害対策を考慮したコンテナアプリケーション基盤の適用可能性が実証されました。

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今後の展開

各社は、本実証で得られた知見をBDSの強化につなげ、金融分野をはじめとするミッションクリティカルな領域への適用拡大を進めていく予定です。パートナー企業との連携を深め、事業継続を支える実用的な災害対策ソリューションの提供をめざすとともに、日立とNTTドコモビジネスのデータ基盤サービスへの適用も視野に入れ、幅広いお客さまへ展開します。

また、BDSのサイバーレジリエンス機能と、本実証の結果であるリアルタイムデータ同期によるデータ保全を組み合わせることで、サイバー攻撃への備えとしても活用し、セキュリティ用途への適用も拡大していく方針です。

さらに、災害時の事業継続にとどまらず、平常時においてもBDSを活用したワークロードシフトの実現をめざします。リアルタイムに同期されたデータを基盤に、電力供給やデータセンターの稼働状況に応じて処理を実行する場所を柔軟に切り替えることで最適な運用を可能とし、「ワットビット連携」構想が掲げる持続可能なデジタル社会の実現に貢献していきます。

詳細については、以下のBorderless Data Shareのウェブサイトをご覧ください。
Borderless Data Share

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Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPANでの紹介

本実証の結果は、日立が2026年9月3日(木)~4日(金)に開催する「Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN」にて紹介されます。展示会場の「EX23: 距離と電力の壁を越えるBorderless Data Share」にて紹介される予定です。

詳しくは、公式サイトをご覧ください。
Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN

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企業紹介

  • 株式会社日立製作所
    IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、社会インフラをデジタルで革新し続けるグローバルリーダーをめざし、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。
    日立製作所 公式サイト

  • 日立ヴァンタラ株式会社
    データによるイノベーションに変革をもたらしています。日立製作所のグループ会社として、世界をリードするイノベーターに対し、信頼性の高いデータ基盤を提供しています。データストレージ、インフラストラクチャ、クラウド管理、そしてデジタルの専門知識を通じて、お客さまが持続的なビジネス成長の基盤を構築できるようサポートします。
    日立ヴァンタラ 公式サイト

  • NTTドコモビジネス株式会社
    法人向け総合ICT事業を担うNTTドコモビジネスは、企業と地域が持続的に成長できる自律・分散・協調型社会を支える「産業・地域DXのプラットフォーマー」として、新たな価値を生み出し、豊かな社会の実現をめざします。パートナー企業を含めたエコシステム全体で、各社の技術や知見を組み合わせ、お客様の課題やニーズに応じた最適なソリューションを提供してまいります。

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用語解説

  • IOWN® APN: IOWN®を構成する主要な技術分野の1つで、エンド・ツー・エンドで光波長パスを提供することにより、高速大容量・低遅延な通信を実現するネットワークです。将来的には、端末からネットワークまでフォトニクス(光)ベースの技術の導入を拡大し、さらなる低消費電力化をめざします。「IOWN®」は、NTT株式会社の商標又は登録商標です。

  • Borderless Data Share (BDS): 日立のストレージ仮想化技術とNTTグループのIOWN® APNを組み合わせることで、600kmを超えるような長距離間でのリアルタイムなデータ同期を実現するソリューションです。

  • Red Hat OpenShift Virtualization: Red Hat OpenShiftの一機能であり、Kubernetesを基盤とした一貫性のある統合ハイブリッドクラウドプラットフォーム上で、仮想マシンを最新のワークロードと並行して移行、実行、管理できる設計です。

  • コンテナ技術: アプリケーションとその依存関係を一つのパッケージにまとめ、どの環境でも同じように実行できる軽量な仮想化技術です。

  • RTO (Recovery Time Objective): 災害やシステム障害が発生した際に、システムやサービスの復旧を完了させる目標時間のことです。

  • RPO (Recovery Point Objective): 災害やシステム障害が発生した際に、データをどの時点まで復旧させるかを示す目標値のことです。

  • Hitachi Virtual Storage Platform One Block: 日立ヴァンタラが提供するデータストレージです。革新的なデータ圧縮・保護技術で、増大するデータの管理の効率化とシステムの安定稼働を実現します。

  • 高可用化機能: システムの稼働状況を常時監視し、障害発生時に自動で予備のシステムへ処理を切り替えるRed Hat OpenShiftの機能です。

  • コールドスタンバイ構成: 災害などの障害に備えた予備のサーバーやシステムを、平常時は稼働させずに停止しておく運用方式です。

  • サイバーレジリエンス機能: BDSを構成するVSP One Blockに外部からアクセスできない、改変不可領域に保管されたバックアップデータから迅速に復旧できる機能です。

  • ワークロードシフト: 計算負荷(コンピューティング負荷)を時間的または空間的に移動させることで、電力需給バランスの調整やコンピューティングリソースの有効利用等を促進する技術です。

  • 「ワットビット連携」構想: 電力と情報通信のインフラ整備を一体的に進め、持続可能で効率的な社会基盤を築くための構想です。

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