自動運転レベル4+の概念とソフトウェアスタック
ティアフォーは、複雑な走行環境への完全自動運転の適用範囲を段階的に広げる「自動運転レベル4+」の概念を提唱しています。今回公開されたデータ中心のAI技術は、この概念を支える中核となる要素です。
このAIベース型自動運転レベル4向けソフトウェアスタックは、2025年7月に公開されたE2Eアーキテクチャを基に「Autoware」の機能実装を拡張したものです。多様な走行環境への適応性と拡張性を前提とし、特定のハードウェア構成に依存せず、システム・オン・チップ(SoC)やセンサーの違いに柔軟に対応できるよう、以下の2つのソフトウェア構成から選択できます。
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認識AIと経路生成AIを組み合わせたハイブリッド系: 拡散モデルにより周囲環境の時系列的な変化を確率的に捉え、別の機械学習モデルによる環境認識結果と組み合わせることで、人間の運転行動を模倣した判断および走行軌跡を生成します。
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すべての運転行動をひとつのAIで行うエンドツーエンド(E2E)系: 周辺環境や走行状況をベクトル表現として扱い、世界モデルの概念も活用しながら、認知・判断・操作を統合的に学習することで、環境認識から運転判断、走行軌跡の生成までを一気通貫で実現します。
これらのソフトウェアスタックは、「Autoware」のリポジトリが管理されているGitHubで公開されています。

機械学習基盤(MLOps)の活用
ティアフォーが提供する機械学習基盤(MLOps)では、走行データの品質確認、映り込んだ人の匿名化、検索のためのタグ付け、アクティブ・ラーニング基盤による評価に基づくアノテーションが行われます。また、収集した走行データにさまざまな条件を付けて生成された仮想データを統合し、自動運転システムの機能性を評価することが可能です。
これらの技術開発は、株式会社松尾研究所との協業をはじめとする多くのパートナーシップによって支えられています。今後は自動車メーカーとの協業を通じて、大規模な走行データとMLOpsの機能を活用し、AIモデルの性能を継続的に改善することで、高い実用性を備えたAIベース型自動運転レベル4の実現を目指しています。
日米欧での試験走行を開始
データ中心なAIの自動運転レベル4における有効性を検証するため、各地域の法令および安全基準に基づき、日本、米国、欧州の交通特性が異なる地域で試験走行が開始されました。異なる車両、SoC、センサー構成が用いられ、各地域での走行時間は約60分を要します。安全要員が同乗しますが、安全な走行中の操作介入は想定されていません。
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東京(日本): 東京大学と連携し、トヨタ製「JPN TAXI」を用いて、都心部の拠点間を移動する際のユーザー体験を検証します。
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ピッツバーグ(米国): カーネギーメロン大学と連携し、ヒョンデ製「IONIQ 5」を用いて、ピッツバーグ国際空港と大学の往復を含む市街地でのロボットタクシー実証を行います。
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ミュンヘン(欧州): ミュンヘン工科大学と連携し、フォルクスワーゲン製「T7 Multivan」を用いて、大学周辺の市街地におけるさまざまな走行シナリオに対する安全性評価を行います。
ティアフォーは、オープンソースを基盤とした国際的な協調体制を通じて、自動運転レベル4の社会実装とその持続的な発展を推進していきます。
関係者のコメント
ティアフォー 代表取締役 執行役員 CEOの加藤 真平氏は、「自動運転レベル4+の実現に向けて、環境に応じて自律的に成長し続ける自動運転技術が求められています。今回公開したデータ中心の自動運転AIのモデルと協調型の機械学習基盤は、そのための共通言語であり、産業全体で共有できる出発点です。」と述べています。
The Autoware Foundation Chairman of the Board of DirectorsのYang Zhang氏は、「『Autoware』は、世界中の研究者、企業、開発者が協力して自動運転ソフトウェアを進化させるための基盤です。ティアフォーとともに進める今回の取り組みは、E2E系の自動運転を実車で検証し、継続的に改善できる国際的な協業体制を強化するものです。」とコメントしています。
東京大学 大学院工学系研究科 松尾豊教授は、「今回公開されたソフトウェアスタックとMLOpsは、高度化されたAIモデルを産業向けに実装するための重要な一歩だと考えています。東京での実証を通じて、日本特有の交通環境におけるデータを蓄積し、それを『Autoware』に還元することで、研究と社会実装の距離をさらに縮めることを目指します。」と期待を寄せています。
カーネギーメロン大学 ジョージ・ウェスティングハウス記念教授のRaj Rajkumar氏は、「『Autoware』は、『自動運転レベル4+』の概念を形作る重要な技術です。ピッツバーグでの実証では、都市部特有の交通状況のもとで、この技術の有効性の検証を進めます。」と述べています。
ミュンヘン工科大学 Professor of Autonomous Vehicle SystemsのJohannes Betz氏は、「今回の取り組みは、自動運転レベル4水準の技術を欧州の都市環境で評価し、その有効性を多角的に検証する貴重な機会となります。『Autoware』を基盤とした連携のもと、地域固有のデータセットを活用しながらAIモデルを改善していく枠組みは、実用性の高い自動運転技術の向上に寄与するものと期待しています。」と述べています。
株式会社ティアフォーは、「自動運転の民主化」をビジョンに掲げ、自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」の開発を主導するディープテック企業です。自社製品として「Autoware」を活用したソフトウェアプラットフォームを提供し、それらを基盤に市場ニーズに応じた自動運転における各種サービスを展開しています。ティアフォーは、「Autoware」が生み出すエコシステムを通じて、世界中のパートナーと連携しながら自動運転の可能性を広げ、より安全で持続可能な社会の実現を目指しています。
株式会社ティアフォーのウェブサイト
ティアフォーが提唱する「自動運転レベル4+」
2025年7月に公開されたE2Eアーキテクチャ
The Autoware Foundationのウェブサイト
株式会社松尾研究所との協業について






