提供開始の背景
近年、訪日外国人旅行者数は増加の一途をたどり、2025年には過去最高の4,268万人を記録しました。しかし、訪日外国人のレンタカー利用に伴う事故も増加傾向にあり、総務省の調査によると、観光目的のレンタカー利用時の事故率は、日本人の0.7%に対し、訪日外国人は3.0%と高い水準にあることが示されています。
こうした状況を受け、安全運転支援機能とカーナビゲーション機能が一体となった「レンタカー版NexTアプリ」が開発され、実証実験が行われました。その結果、アプリが交通事故防止に十分な効果を発揮することが確認されたため、今回のアプリ提供に至りました。
訪日外客統計や外国人運転者に対する交通安全対策については、以下の情報源をご確認ください。
レンタカー事故低減アプリの概要
「レンタカー事故低減アプリ」は、ナビタイムジャパンが開発し、あいおいニッセイ同和損保と共同でレンタカー事業者向けに提供されます。

主な機能は以下の通りです(当初は一部機能で提供され、順次追加される予定です)。
-
英語音声付カーナビゲーション:ナビタイムジャパンのカーナビゲーション機能が英語音声で提供されます。「細道回避検索」や目的地の左側に到着可能な「横づけ検索」など、多くの条件を考慮したルート案内機能を搭載し、駐車場の満空情報やガソリンスタンド情報も表示されます。
-
簡易安全運転診断:運転結果を診断・スコア化し、運転終了後にランクを表示します。これにより、利用者は自身の運転を振り返ることができ、安全運転への意識向上が期待されます(英語、中国語、韓国語対応)。
-
交通ルールクイズ:訪日外国人が間違えやすい日本の交通ルールや標識をクイズ形式で出題し、ドライバーの理解を促進します(英語、中国語、韓国語対応)。
-
おすすめ観光スポット:自治体などが推奨する周辺の観光スポットを提示し、カーナビゲーションに反映されます(英語、中国語、韓国語対応)。
-
事故多発地点アラート:過去に事故の多かった地点についてジオフェンシングなどを活用し、「この先、事故多発地点です」と音声で注意喚起します(英語、中国語、韓国語対応)。
-
チェックイン機能(スタンプラリー):利用者の位置情報をもとに特定の地点を訪れたかを判定し、その実績に応じてクーポンなどを付与することで、ユーザーの利用動機を創出します(英語、中国語、韓国語対応)。
実証実験の結果
事故の発生状況
本実証に参加した127組のレンタカー利用者全員が、利用期間中を通して無事故でした。総務省の調査による訪日外国人のレンタカー事故率3.0%と比較すると、本実証における事故防止効果が確認できたと言えるでしょう。
訪日外国人の運転傾向の分析
本実証データとあいおいニッセイ同和損保のテレマティクス保険契約者データを比較した結果、以下の傾向が判明しました。
-
危険な運転挙動の発生傾向:訪日外国人ドライバーの危険な運転挙動の発生頻度は、事故低減効果のあるテレマティクス自動車保険に加入している日本人ドライバーと比べて、急減速を中心に低い結果となりました。これは、「交通ルールクイズ」や「安全運転診断」による安全運転促進の効果があったと考えられます。
-
危険な急減速の発生地点に関する分析:事故につながる恐れのある危険な急減速が多く発生する「ヒヤリハット地点」について、日本人ドライバーには見られない訪日外国人ドライバー特有の傾向があることが判明しました。
-
【傾向1】直進や右左折の進行レーンが存在する道路
-
【傾向2】幅員が狭い細道や一時停止の標識がある道路
日本の道路事情や交通ルール・標識についての理解が不足していることが原因であると想定されます。
-
-
1トリップあたりの走行時間・距離:訪日外国人ドライバーは日本人ドライバーに比べて、1トリップあたりの走行時間・距離が長い傾向にあることが判明しました。あいおいニッセイ同和損保のデータによると、休憩を取らずに1トリップあたりの走行時間・距離が長くなるほど事故を起こしやすい傾向があり、これも事故の多さの要因になっていると想定されます。
実証参加者に対するアンケート
アンケートの結果、参加者の約8割が「交通ルールクイズ」や「安全運転スコア」の利用により安全運転への意識が向上したと回答しました。「危険と感じた道路」については、「細道」や「交通量・車線の多い道路」などが挙げられ、日本の道路に不慣れな訪日外国人にとって、これらの道路の走行は事故の危険性が高いことが裏付けられました。

「レンタカー版NexTアプリ」のカーナビゲーションでは「細道回避検索」などを英語で案内しており、本実証における事故防止に大きな効果を発揮したと言えるでしょう。
今後の展望
あいおいニッセイ同和損保とナビタイムジャパンは、両社が持つデータとノウハウを活用し、社会課題の解決に資するソリューションの開発・提供を進め、安心・安全なモビリティ社会や地域の活性化に貢献していく方針です。
なお、あいおいニッセイ同和損保は2027年4月を目途に三井住友海上火災保険株式会社との合併を予定しており、合併新会社においても本アプリの提供を通じて、訪日外国人のレンタカー利用時の事故低減を目指していくとのことです。






