MAHLE、大型電動トラック向けレンジエクステンダーシステムを世界初公開し、道路輸送の電動化を加速

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安和 賢二(やすわ けんじ)

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新型レンジエクステンダーシステムで航続距離と運行柔軟性を拡張

MAHLEは、IAA Transportationにおいて大型電動トラック向けの新型レンジエクステンダーシステムを世界初公開します。このシステムは、電動駆動の持続可能性と内燃機関の柔軟性および航続距離を組み合わせることで、コスト負担の大きい道路輸送分野における車両ライフサイクル全体の総所有コスト(TCO)低減を支援し、気候配慮型投資を促進します。また、このレンジエクステンダー搭載BEVは、EUの新車CO₂排出削減目標の達成にも寄与すると考えられます。

レンジエクステンダーは、必要なタイミングでのみ作動するスマートな「緊急電源ユニット」として、利用可能な航続距離を大幅に拡大します。システムの主要コンポーネントである高効率の高電圧ジェネレーターは、コンパクトな内燃機関によって駆動され、連続出力110 kW、最大出力130 kWを発揮します。これにより、満載での長距離走行や厳しい運行条件においても、電動駆動システムへ安定した電力を供給します。

トラックの内部構造

MAHLEは、このレンジエクステンダーシステムを、ジェネレーター、内燃機関、熱・流体マネージメントシステム、燃料タンク、AdBlueタンク、排ガス処理装置をひとつのコンパクトな「ボックス」にまとめた自律型ユニットとして開発しました。このユニットは、バッテリー電動トラックの通常のバッテリー搭載スペースに収まるよう設計されており、既存のバッテリー電動車両プラットフォームへ円滑に統合できます。

このシステムにより、バッテリー電動トラックの現在のバッテリー容量の約3分の1を削減し、より小型のバッテリーを搭載できるようになります。結果として、レンジエクステンダー搭載BEVトラックは総航続距離800km超を実現し、約400kmをバッテリーが、残りの400kmをレンジエクステンダーがカバーします。実際の運行条件下でレンジエクステンダーを作動させた場合、トラックのCO₂排出量は従来の駆動システムを搭載したトラックと比べて約80%削減されます。さらに、MAHLEのコンポーネントによりバイオ燃料対応となっている内燃機関を再生可能燃料で運転した場合、トラックのCO₂排出量は実質ゼロとなります。

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高効率な内燃機関向けコンポーネントも進化

MAHLEは、内燃機関向けに燃費と運用コストを低減するためのコンポーネント開発も進めています。新しいパワーセルユニットは、従来よりも高い性能、長い耐用年数、そして優れた効率を備えています。また、オイルフィルター、オイル冷却システム、バイパスバルブを統合し、オプション機能も追加可能な新しいオイルマネジメントシステムは、効率性と経済性の両面で改善されています。

ピストン

ハウジングに使用する素材によっては、材料コストを最大20%削減し、製品のCO₂フットプリントを最大50%低減、重量を最大25%軽量化することが可能です。これらの製品は、今年のIAA Transportationで初めて公開されます。

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レアアース不使用のMCT電動モーター

IAA Transportationでは、大型商用車向け電動駆動アクスル用に開発されたMAHLEコンタクトレス・トランスミッター(MCT)電動モーターも世界初公開されます。このモーターは永久磁石を使用しておらず、レアアースを一切必要としない設計です。ベンチマークとなる永久磁石同期モーターと比較すると、MCT電動モーターは車両あたり最大3kgのレアアース磁石を削減できます。これにより、電動駆動システムの環境負荷をさらに低減できる点が大きな利点です。

電動モーターの部品

MAHLEの新しい電動モーターは、実走行条件で約10%軽く、高効率を実現しています。幅広い運転領域において高い効率を維持できる点が特長で、最大出力370kW、最大トルク900Nm超を発揮します。EUが新車の燃費効率を算定するために用いるシミュレーションツール「VECTO」サイクルにおいて、モーター効率は約95%に達します。

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MAHLEの電動化戦略と市場での成長

MAHLEは、電動化分野および熱マネジメント分野において、確固たるリーディングポジションを築いています。自転車から乗用車、トラックに至るまで幅広い車両の電動化に対応するコンポーネントおよびシステムを提供しており、毎年約800万台の電動駆動システムおよび電動補機類を販売しています。2026年から2029年にかけて、主要な乗用車およびトラックメーカーによる35を超える電動化車両プラットフォームが、MAHLEの技術と製品を基盤として市場投入される予定です。

欧州ではバッテリー電動トラックおよび燃料電池トラック向けに幅広く製品を供給し、確固たる市場基盤を築いています。電動エアコン用コンプレッサーの分野で欧州トップの市場シェアを持ち、電動ポンプおよび電動ファンの分野でも市場上位3社の1角を占めています。中国では、主要トラックメーカー各社と協業し、電動化車両分野での存在感をさらに拡大しています。

中型・大型商用車は、MAHLEの自動車産業向け事業の約20%を占めており、今後5年間で、商用車向け製品によって市場全体を上回る成長率を達成できると見込まれています。特にアジア市場に最大の成長ポテンシャルがあると見ています。

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再生可能燃料と水素の活用も不可欠

国際エネルギー機関の数値によると、eモビリティの立ち上げが計画通りに進んだとしても、従来型車両のCO₂排出量は2010年の水準にとどまり続けると指摘されています。このため、Arnd Franz氏は、「電動化に加えて、HVO100やバイオLNGのような持続可能な燃料の供給を大規模に拡大する必要があることは明らかです」と述べています。

MAHLEは、高効率な内燃機関向けコンポーネントの信頼できるサプライヤーであり続けており、これらのコンポーネントは再生可能燃料と組み合わせることで、道路輸送における二酸化炭素排出量の削減に大きく貢献します。

また、MAHLEは、道路輸送分野の脱化石燃料化に向け、水素および水素由来燃料を重要な要素と捉えており、現在進行中の主要な水素エンジン開発プロジェクトに参画しています。燃料電池による発電用途としての水素利用も、商用車分野の将来にとって有望な技術であると見ています。

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政策の安定性が技術発展を支える

Arnd Franz氏は、気候目標に関連する課題は技術だけでは解決できず、信頼性のある政策的枠組みが必要であるとの見解を示しています。大型商用車向けCO₂フリート規制の客観的な見直しを求め、目標は野心的であるべきですが、市場の現実、インフラ状況、技術的実現可能性とより密接に整合している必要があると指摘しています。

「CO₂排出量を削減するためには、バッテリー電動車、水素、そして内燃機関向けの再生可能燃料を組み合わせて活用しなければなりません。レンジエクステンダーシステムも、電動化を促進する実用的な手段として認識され、規制の中で考慮されるべきです」とArnd Franz氏は述べています。

充電インフラ、水素充填ステーション、そして経済的に成立する蓄エネルギーソリューションは、商用車を生産的に活用するための不可欠な条件です。移行を円滑に進めるには、規制・インフラ・資金・産業政策が効果的に連携することが不可欠であると強調しています。

MAHLEの最新情報については、MAHLEのニュースルームをご確認ください。

MAHLEの企業ロゴと男性のポートレート

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