「ディーゼル車は10年しか乗れないってホント?」
「ディーゼルエンジンの寿命はどれくらい?いつまで乗れる?」
気になるディーゼル車の動向。
どれくらい乗れるのか?そもそも規制で乗れなくなるのか。
本記事では、ディーゼル車は10年しか乗れないのかの結論とエンジンの寿命について詳しく解説していきます!
【結論】ディーゼル車は10年しか乗れない?
ディーゼル車は10年しか乗れないのかどうか?
結論からいうと、10年を超えて使用することは可能です。
実際、実用車使用年数をみてみると、以下の通りでガソリン車よりディーゼル車の方が長いことがわかります。
- ガソリン車:10.84年
- ディーゼル車:15.98年
つまり、10年以上も現役で走行するディーゼル車は数多く存在するということ。
ではなぜ、ディーゼル車は10年を超えて使用できるのか。
その具体的なディーゼル車を10年を超えて使用できる理由について解説していきます。
【理由1】耐久性の高いエンジン設計になっているから
まず1つ目の理由が「耐久性の高いエンジン設計になっているから」
ディーゼル車が10年を超えても使用できる主な理由は、耐久性の高いエンジン設計にあります。この耐久性は、ディーゼルエンジンが高圧縮比で動作することに起因します。具体的には、ディーゼルエンジンの燃焼方式は、空気を高圧縮し、その熱で燃料を自己着火させるものです。このプロセスにより、燃料の燃焼効率が向上し、エンジンの負荷が分散されます。
例えば、一般的なディーゼルエンジンの圧縮比は15:1から25:1の範囲にあり、これはガソリンエンジンの圧縮比7:1から10:1よりもはるかに高いです(出典:JAF)。この高圧縮比により、ディーゼルエンジンは強度と耐久性を確保し、結果として長寿命を実現します。さらに、ディーゼル燃料には潤滑性があり、エンジン内部の摩耗を減少させる効果もあります。これらの特性により、ディーゼルエンジンは10年以上にわたり信頼性高く運用することが可能です。したがって、耐久性の高いエンジン設計は、ディーゼル車が長期間にわたって使用される重要な理由です。
【理由2】優れた燃費性能で長期間使用した方が経済的に良いから
次に2つ目の理由として「優れた燃費性能で長期間使用した方が経済的に良いから」
ディーゼル車が10年を超えて使用される理由の一つに、優れた燃費性能による経済性の良さが挙げられます。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンと比較して、同じ量の燃料でより多くのエネルギーを生み出す能力が高いため、燃費効率が良くなります。実際に、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて約20%から30%燃費が良いとされています。
例えば、同じ条件下で走行した場合、ガソリン車が10km/Lの燃費であるのに対し、ディーゼル車は12km/Lから13km/Lの燃費を実現できます。この差は、長期間にわたって積み重なると、大きな経済的利益につながります。燃料費の節約に加え、ディーゼル燃料の価格が一部地域でガソリンよりも低い場合があることも、総所有コストを抑える要因になります。したがって、ディーゼル車の優れた燃費性能は、長期間使用するほど経済的に良いという結論につながります。
【理由3】定期的なメンテナンスと点検を行っているから
そして3つ目の理由が「定期的なメンテナンスと点検を行っているから」
ディーゼル車が10年を超えても使用できる理由の一つは、定期的なメンテナンスと点検を徹底して行っているからです。定期的なメンテナンスには、オイル交換、フィルターの交換、燃料系統の清掃などが含まれ、これによりエンジンの最適な性能を保つことができます。例えば、エンジンオイルは、一般的に5,000キロメートルから10,000キロメートルごとに交換されることが推奨されています。これは、エンジン内部の摩耗や汚染物質を最小限に抑え、長期間にわたるエンジンの健康を維持するためです。
また、燃料フィルターやエアフィルターの定期的な交換は、燃料の清浄性を保ち、エンジンの効率を高めます。これらのメンテナンス活動は、ディーゼル車のパフォーマンスを長期にわたって維持し、重大な故障を未然に防ぐ効果があります。したがって、定期的なメンテナンスと点検は、ディーゼル車を10年以上使用する重要な要因です。
ディーゼル車は10年しか乗れないとされる原因
ここまで、ディーゼル車は10年しか乗れないのかの結論をまとめてきました。
結論、10年を超えて使用することは可能。
その最たる理由は、ディーゼルエンジンが耐久性の高い設計になっているからです。
ではなぜ、「ディーゼル車は10年しか乗れない」といった情報が存在するのか?
そのディーゼル車は10年しか乗れないとされる原因についても考察していきます。
【原因1】燃料系統の複雑化
まず1つ目の原因として挙げられるのは「燃料系統の複雑化」
ディーゼル車が10年しか乗れないとされる一因として、燃料系統の複雑化が挙げられます。この複雑化は、厳しい排ガス規制に対応するために、高度な技術を採用しているからです。具体例として、コモンレールシステムがあります。これは燃料を高圧で貯めておき、電子制御により燃料噴射のタイミングと量を精密に管理する技術です。
コモンレールシステムは、燃焼効率を高め、排出ガスを減少させる一方で、システム自体の構造が複雑であり、故障時には高額な修理費用が発生する可能性があります。また、燃料噴射ノズルの詰まりや燃料ポンプの故障など、細かな部品の故障がシステム全体の不具合に繋がりやすいです。これらの要因により、ディーゼル車の燃料系統の複雑化は、10年という使用期間において、メンテナンスや修理の難易度とコストを上昇させる原因となっています。
【原因2】DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の詰まり
次に挙げられる原因として「DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の詰まり」
ディーゼル車が10年しか乗れないとされる原因の一つに、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の詰まりが挙げられます。DPFは、排出される微粒子状物質(PM)を捕集することで、大気汚染の防止に寄与する重要な役割を果たしています。しかし、フィルターが詰まると排ガスの流れが悪くなり、エンジン性能の低下や燃費の悪化を招きます。
例えば、都市部での低速運転が多い車両では、DPFの再生(燃焼によるクリーニング)が十分に行われず、詰まりが生じやすくなります。DPFの交換や清掃は高額なコストを要するため、長期間の使用には経済的な負担が大きくなります。このように、DPFの詰まりはディーゼル車の長期使用を困難にし、10年という使用期間を制限する要因となっています。
【原因3】世界で進むディーゼル車の排ガス規制の厳格化
そして3つ目の原因で挙げられるのが「世界で進むディーゼル車の排ガス規制の厳格化」
ディーゼル車が10年しか乗れないとされる原因の一つに、世界で進むディーゼル車の排ガス規制の厳格化があります。この厳格化は、大気汚染の問題を解決するために、多くの国がディーゼル車から排出される窒素酸化物(NOx)や微粒子状物質(PM)に対して設定している基準を強化しているためです。
例えば、欧州連合(EU)では、Euro 6(ユーロ6)規制が導入され、ディーゼル車のNOx排出量の上限が大幅に低下しました。これにより、古いディーゼル車は新しい規制基準を満たすことが困難になり、市場での販売や使用が限定されます。また、一部の都市ではディーゼル車の使用を禁止するなど、さらに厳しい規制が敷かれています。このように、排ガス規制の厳格化は、ディーゼル車の寿命に影響を及ぼし、10年という期間内で使用が難しくなる主要な原因となっています。
ディーゼル車のメーカー別での寿命(走行距離)
では実際に、ディーゼル車の寿命はどれくらいなのか?
具体的なディーゼル車のメーカー別での寿命(走行距離)を調べていきます。
【寿命1】クリーンディーゼルエンジン
クリーンディーゼルエンジンを搭載したディーゼル車は、メーカーによって寿命が異なるものの、一般的に高い耐久性を誇ります。この耐久性は、先進的な技術により排出ガスを大幅に削減しつつ、エンジン性能を維持する設計に起因します。例として、あるメーカーのクリーンディーゼルエンジンは、特殊な触媒システムを用いてNOxやPMの排出を効果的に低減しています。
さらに、精密な燃料噴射技術により燃焼効率を向上させ、エンジンの摩耗を最小限に抑える設計が採用されています。これらの技術により、クリーンディーゼルエンジンは一般的に30万キロメートル以上の走行に耐えうる寿命を持つと報告されています。したがって、クリーンディーゼルエンジンは、高い燃費効率と低排出ガスを実現しながら、長期間にわたる使用が可能な耐久性を兼ね備えていると結論付けられます。
【寿命2】マツダのディーゼル車
マツダのディーゼル車は、独自の技術により高い耐久性と長寿命が期待できます。マツダは「SKYACTIV-D」エンジンを開発し、従来のディーゼルエンジンに比べて低圧縮比を実現しています。この低圧縮比により、燃焼温度が低く抑えられ、NOxの生成が減少します。また、燃焼効率の向上により、エンジン内部のクリーンな状態を保ちやすくなっています。
さらに、マツダのディーゼル車は、精密な燃料噴射技術により、燃料の霧化を細かく制御し、効率的な燃焼を促進しています。これらの技術により、マツダのディーゼル車は、一般的に40万キロメートル以上の走行距離に耐える耐久性を持つと評価されています。マツダのディーゼルエンジンは、その革新的な技術により、長期間にわたる高い性能と環境性能を維持することが可能です。
【寿命3】BMWのディーゼル車
BMWのディーゼル車は、高い技術力と品質管理により長寿命であることが期待されます。BMWは、ディーゼルエンジンの開発において、燃焼効率の最適化、排出ガスのクリーン化、エンジンの耐久性向上に注力しています。例えば、BMWのディーゼルエンジンには、高度なターボチャージャー技術や、精密な燃料噴射システムが採用されています。これらの技術により、エンジンは高い出力と低い燃料消費を両立させています。
さらに、BMWのディーゼルエンジンは、アドブルーという尿素水溶液を用いたSCR(選択接触還元)システムを採用し、NOx排出量を大幅に削減しています。これらの技術により、BMWのディーゼル車は、一般的に30万キロメートルから50万キロメートルの走行距離に耐えうる耐久性を有していると評価されています。BMWのディーゼルエンジンは、その先進的な技術により、長期間にわたる高性能と環境性能の維持が可能です。
【Q&A】10年しか乗れないと言われるディーゼル車のよくある質問
最後に10年しか乗れないと言われるディーゼル車のよくある質問をまとめます。
【質問1】ディーゼル車は10年以上経過すると税金が上がる?
「ディーゼル車は10年以上経過すると税金が上がる?」
ディーゼルエンジンを搭載した車は、新車登録から11年が過ぎると税負担が増します。
【質問2】日本ではディーゼル車はいつまで乗れる?
「日本ではディーゼル車はいつまで乗れる?」
日本ではディーゼル車の使用可能期間は法律によって直接制限されていませんが、環境基準や地域ごとの規制によって実質的に乗れる期間が影響を受けます。
例えば、一部の地域では、特定の排ガス規制を満たさない古いディーゼル車の運行が制限されています。国交省が公表した「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」にて、より厳しい排ガス規制が強化されました。しかし、古いディーゼル車はこれらの基準を満たさないため、都市部の低排出ガス車専用区域での運行が制限される場合があります。結論として、日本でディーゼル車をいつまで乗れるかは、車両が満たすべき環境基準や地域の規制によって大きく左右されます。新しい基準に適合するディーゼル車であれば、長期間の使用が可能です。
【質問3】ディーゼル車が乗れない地域がすでにある?
「ディーゼル車が乗れない地域がすでにある?」
トラックやバス等については、日本でも運行禁止を実施されています。
東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県の1都3県で平成15年10月1日からディーゼルトラック・バスの地域内運行禁止を実施しています。
まとめ:ディーゼル車は10年しか乗れないのかの結論とエンジンの寿命
ディーゼル車は10年しか乗れないのかの結論とエンジンの寿命をまとめてきました。
結論、ディーゼル車は10年を超えて使用することは可能です。
実用車使用年数をみてみると、ガソリン車よりディーゼル車の方が長いことがわかります。
改めて、ディーゼル車を10年を超えて使用できる理由をまとめると、
ただし、世界で進むディーゼル車への排ガス規制の厳格化には注目が集まりそうです。
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